近くのメンバーより遠くの自担問題

近くのメンバーより遠くの自担問題がジャニオタ界隈をざわつかせている。

私はその言葉を耳にした時、ある言葉を思い出した。

2010年に行われた「V6 ASIA TOUR 2010 in JAPAN READY?」のMCにて井ノ原さんが発言した「ファンの人たちみんな優しいんだよ。うちわ隠しながらちょっと手振ってるくれるんだけど、別にそのままでいいんだよ。俺も剛のこと好きだからさ!」という言葉である。

ことの発端は、井ノ原さんが森田さんのうちわを持っている人の目の前に行った時、その人が井ノ原さんに気を遣ってうちわを下げたという話である。

それに対して「俺も剛のこと好きだからうちわ下げなくてもいいよ」と言える井ノ原さんの言葉が素敵すぎて、今もずっと印象強く残っている。近くのメンバーより遠くの自担とは少し違うけど、なかなか言えるような言葉ではないよなぁと考えれば考えるほどそう感じる。

目の前に来た井ノ原さんに気を遣ってうちわを下げたこの時の森田さんのファンの人もとても素敵な人だけど、みんながみんなこのような対応を取るわけではない。

たとえメンバー全員のことが好きでも、その中でも一番好きな人というのはそれぞれにいて当然だし、一秒たりとも自担を見逃したくない!と思うのも当たり前である。こちらはお金を払って見ているわけだし、誰を見ようが誰のうちわを持とうがこちら側の自由だと思う。

2008年頃には井ノ原さんがラジオでこんなことを言っていた。

コンサート中、井ノ原さんの立ち位置が森田さんのうちわを持っている方の付近だったので、目の前に行くと「ちょっと邪魔!」というような感じで井ノ原さんを避けて向こう側にいる森田さんを見ていたという話だが、その話を井ノ原さんが直接森田さんにしたらしい。すると森田さんも「そんなの俺もしょっちゅうだよ。手で『どけ』ってされたことある」と返ってきて「えっ!?お前もあんのか!?」とビックリしたそうだ。坂本さんも「『あ、いたんだ?』みたいな感じでチラ見された」、長野さんも「俺のうちわ持ってるから手振ったのに睨まれたことがある」と言い、井ノ原さんが「ファンの人はみんなそれぞれ夢中だから(笑)。ソロコンサートでやられたらショックだけど、俺たちは6人でやってるから必ず誰かを見ているわけですからね!」と締めていたのはさすがベテランアイドルだと関心した。

三宅さんも昨年ラジオで、「例えば僕のファンで僕しか見ませんって人がいてそれは嬉しいんだけど、何が悲しいって、違うメンバーが来た時に背を向けられるパターンのやつはショック。自分の担当のメンバーが来た時にしか立ちませんって人もいっぱいいるよ。いっぱいいる。いっぱいいるんだから!」と言っていた。だけど、「メンタル強くならないとアイドルなんてやってられないんだから」という一言で締める三宅さんさすがだと思ったし、この件になる前にもっと関心した話がある。
 
三宅さんは自分以外のメンバーのうちわを持っている人に「お前が持ってるうちわ俺のうちわに変えてやるぜ!」と思いながらコンサートをやっているという話である。「他のメンバーはそんなこともちろん言わないけど、絶対みんなファンを奪い合っているところがあると思うんだよね。なんかそう思ったら僕が下手側にいた時に、上手側の剛とチラッと目が合う時あるもんね。やっぱり奪いに来てるんだなって思うもん。ファンの人たちにはそれに気付いて欲しいな」と。若手でもなんでもない20年選手のベテランアイドルにそんなこと言われるなんてブイ担幸せ過ぎではなかろうか。

自分が目の前にいるのに背を向けられるとショックだけど、別にそれを失礼だと思うわけではなくて、「お前が持ってるうちわ俺のうちわに変えてやるぜ!」と思ってコンサート中にファンを奪い合う20年選手のベテランアイドルかっこよすぎてしびれる。

「俺も剛のこと好きだからうちわ下げなくてもいいよ」と言える井ノ原さんの優しさと、「お前が持ってるうちわ俺のうちわに変えてやるぜ!」と闘争心メラメラの三宅さん。タイプは全然違うけど、それぞれがそれぞれのやり方でファンを理解し自分のアイドル人生を全うする姿が本当に素敵だ。

若手アイドルはグループの地位や自分の地位を確立することに精一杯かもしれないし、これは20年選手のベテランアイドルだからこそ出来る余裕のある行動なのかもしれない。

生き急ぐ気持ちは分かるけれど、まだまだ始まったばかりの長いアイドル人生をたった一言で終わらせるようなことをしてはいけない。もったいない。必要以上にナーバスになり過ぎることなく「お前のその視線の先を俺に変えてやるぜ!」くらいの意気込みでアイドル人生を全力で楽しんで欲しいなと思った。