森田さんが伊野尾さんを叱った理由

2015年8月22日から23日にかけて生放送された「24時間テレビ」内の「嵐にしやがれ」でそれは起きた。

事の発端は本番前に行われたV6とHey!Say!JUMPの食事会だった。長野さんと話をしていた伊野尾さんが長野さんの言葉を聞き取れず、つい「えっ?」と返してしまったそうだ。一度だけではなく何度も「えっ?」と返している様子に我慢出来ず、「お前いい加減にしろ。お前のせいで長野くんが二回も同じ話をしなきゃいけねえじゃねえか!」と滅多に喋らない森田さんが激怒したという話を三宅さんが暴露した。

ここまではテレビで放送された内容だが、「V6キセキの言葉」というエッセイを見ると、この話にはまだ続きがあった。

番組内のコーナーが終わった後、森田さんがスタッフに「あいつ、大学とか行ってなかったっけ?」と聞き、「明治大学を卒業してます」とスタッフが答えると、再び怒りのスイッチが入り「大学って何教えてんだよ!どこ行った?」と伊野尾さんを探していたという。まだ初日の夜中で喧嘩になったら大変なので、スタッフが3人がかりで森田さんをなだめていたそうだ。スタッフの話によると伊野尾さんは森田さんにビビって隠れていたというが、その後、薮さんと八乙女さんに付き添われて森田さんに頭を下げに行ったらしい。その時も「俺じゃなくて長野くんに謝れ」と筋を立てさせ、それから伊野尾さんには「最後まで頑張ろうな」と優しく声をかけていたという。その言葉を聞いた伊野尾さんは感激して涙を流していたそうだ。

「いかにも先輩を尊敬していない態度が見える後輩は許せない。たとえその先輩のことが嫌いでも、自分より長く生きてる、多くを経験してるだけでも尊敬しなきゃいけない。その姿勢がないと、代々受け継がれ来た大切なことを学べませんからね」という森田さんの言葉で締められていた。

この24時間テレビの裏話は本人が語っているわけではないので、どこまでが本当の話なのかは分からない。しかし、最近の森田さんのインタビュー等を見ると、コンビニ店員の釣り銭の渡し方や、タクシー運転手のマナーの悪さがとても気になるとのことで、我慢出来ず注意することもあると言っていたので信憑性のある話だ。

私はV6のファンなので、昔の森田さんを思い返すと伊野尾さんよりも100倍酷かったと断言できる(笑)。伊野尾さんのやってることなんて全然可愛いものだなと(笑)。だって、森田さんは大先輩のV6のリーダーである坂本さんを「いつかあいつだけは殺ってやろう」と思い続け、坂本さんに叱られても言うことを全く聞かず、一年半くらいずっと無視し続けていた超強者ですから(笑)。

自分にもそんな過去があり後々苦労した森田さんだからこそ、言ってしまえば同じグループでも何でもない無関係な後輩を、ここまで叱ることが出来たのではないだろうか。

この裏話が書かれていた「V6キセキの言葉」には、6人の項目が設けられているのだが、森田さんの項目だけメンバーとの関係を交えたエピソードが非常に多かった。メンバーとと言うか、ほとんどが坂本さんとのエピソードだ。

デビュー当時からやんちゃなイメージが付き纏い(実際やんちゃだったんだけど)、根も葉もない噂を流されていた森田さんは人間不信に陥りそうになっていた。スタッフからも「森田は無愛想でまともな話が出来ない。取っ付きにくい」と思われていたそうだ。そんな森田さんを見かねたリーダーの坂本さんは、仕事が終わった後に森田さんを呼び出し、腹を割って話し合ったという。

周りが全員敵に見えてしまい、被害妄想がどんどん膨らんでいくという森田さんに坂本さんは、「他人を信用出来ない人間は、他人からも信用されない。他人を信用出来る人間になれば、自然と他人から信用される人間になれる」と伝えた。「今思えば、『そんなにすぐ信用出来ねえよ!』って思うけど、その時は自分を変える良いきっかけになった。坂本くんに救われた」と話している。

森田さんの記憶に最も残る坂本さんの説教がある。森田さんが近年出演した舞台の期間中に、坂本さんに説教された昔話を嬉しそうに語っていたそうだ。最初はV6の話をしていたわけではなく、共演者の役者さんについて、その性格や芝居の特徴を話していたそうだが、森田さんが突然「○○さんは坂本くんみたいな人。○○さんは長野くんみたいな人だな〜」とV6のメンバーに喩え始めたいう。

「さすがにもう何年も坂本くんには怒られてないけど、昔はマジで怖かった。だって怒ると怪獣みたいな顔になるんだもん(笑)。礼儀とか態度とか、俺の言動がV6の評判を落としかねないって思ったら、ソッコーで裏に連れて行かれて大説教でしたからね。でも、そのお陰で、少しずつだけどプロとしてのあるべき姿に近づけたと思う。そういえば一番怒られたのは、俺がある仕事に遅刻して、『行きたくない』って坂本くんに電話した時かな。その時は、頭ごなしに怒鳴るんじゃなく、『剛、一度引き受けた仕事には最後まで責任を持て。それがプロとしてお金をもらう者の努めだ』って、静かに説教された。そのトーンがめちゃめちゃ怖いんだよ。ぶっちゃけ、行かなきゃ殺されると思った(苦笑)」と、自分が怒られたエピソードを嬉々として話す森田さん。その姿は間違いなく坂本さんへの感謝が込められていたという。

こちらが坂本さんに反抗しまくっていた当時17歳の森田さんです。この一年後くらいに、かの有名な森田遅刻事件が勃発し、大勢のスタッフやメンバーの前で、坂本さんと和解するきっかけにもなった伝説のバトルが繰り広げられます(笑)。

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20年の月日って本当に凄いんだな・・・と私も泣けてくる。20年後はこんなにしっかりした大人になっているなんて誰が想像しただろうか。周りの環境って大事。私も怒られてる時は、相手に対する怒りとか悲しさとか、自分の情けなさの方が上回って普段は忘れてしまいがちだけど、叱ってくれる人が身近にいるって実はとても幸せなことなんだと思う。叱るって行動は、叱る側も心身共にとても労力を使う行動なので、本当に相手のことを思っていないと出来ないことだ。自分の身を削ってまで、自分のことを思って叱ってくれる人が身近にいるなんて本当に幸せなことだと思う。

24時間テレビ終わりに「これを機に俺たちのこと嫌いにならないでね・・・?嫌われたくないからさ・・・」と恐る恐るHey!Say!JUMPにお願いしていた森田さん。そんな人が、今まで話したこともない後輩を叱れば、そうでなくても恐れられているので、更に避けられてしまう可能性が上がることは分かりきっているのに、後輩のため、メンバーのことを思って叱るという行動を取った森田さんの叱る勇気と優しさを尊敬する。実はビビリで「嫌われたらどうしよう」と心配している人が、どうでもいい人なんて怒らない。ましてや歳の離れた後輩グループで、今まで話したこともなかった後輩を怒るなんて、相当思い入れがないと怒れるはずがない。森田さんはその後も「伊野尾くん可愛いよね」って言ってるんです!決して伊野尾さんのことが嫌いだから怒っていたわけではなくて、自分の二の舞にならないように、伊野尾さんのことを思って厳しく接した森田さんなりの優しさだということを、勘違いしている人がいたら知って欲しい。

全てを知った上で、私が伊野尾さん側だったら、そこまでして自分のことを思って怒ってくれる先輩がいるなんて嬉しい。そんな人が近くにいるなんて羨ましいと思う。私は一社会人として、森田さんと同じような立場に立った時、自分を犠牲にしてでも森田さんと同じ行動を取ることが果たして出来るだろうか。「嫌われるかもしれない」という不安な思いを抱えながらも、後輩のため、仲間のことを思いここまで行動に移すことが出来るだろうか。そんなことを考えた出来事だった。