ファンの思いは必ず届く

2016年6月8日に発売されたV6 46枚目のシングル「Beautiful World」の初週売上枚数が11万6000枚だった。

 

V6が初週10万枚以上売上げたのは2007年1月31日に発売された「HONEY BEAT/僕と僕らのあした」以来の約9年ぶりな上、「HONEY BEAT/僕と僕らのあした」の初週売上げは10万230枚だったので1万枚以上も「Beautiful World」の売上げの方が多いことになる。直近で初週11万枚以上売上げているのは2005年6月22日に発売された「UTAO-UTAO」の12万4290枚なので、初週11万枚以上を売上げたのは実に約11年ぶりである。

 

●初週売上枚数(2005年〜2016年)
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 ●初週売上及び累計売上枚数(1995年〜2016年)

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上の図を見ても分かるとおり、2009年6月17日に発売された「スピリット」から2014年8月27日に発売された「涙のアトが消える頃」までの約5年間は累計売上枚数ですら10万枚割れの暗黒期だった。

 

何故、2008年9月17日に発売された「LIGHT IN YOUR HEART/Swing!」を最後に約5年もの間、10万枚を超えることができなくなったのか。その理由は考えるまでもない。

 

 

私がV6のファンになったのは「学校へ行こう!」がきっかけだった。毎週火曜日は「伊東家の食卓」からの「学校へ行こう!」が生活の一部となっていた。私に限らず当時はそういう人が多かったと思う。「学校へ行こう!」から生まれた「未成年の主張」、「どこ行くんですか?ゲーム」、「みのりかリズム」等は社会現象を巻き起こすほどの大ブームとなった。そして時は流れ、一つの時代を築いた番組が2008年9月2日に幕を下ろした。

 

 

学校へ行こう!」が終了すると同時にグループとしての活動は極端に減り、個人としての活動が主となった。2010年には解散騒動が勃発し、事務所やメンバーが言及するなどメディアでも大きく報道された。私自身が動揺することはなかったが、グループとしての活動は減っていく一方だったのでそういう報道が出てもおかしくないと思った。

 

実際、10周年を終えてから一度メンバー間で言い合いをしたと井ノ原さんが言っていたので、意見の食い違いがあったのかもしれない。世間からは「消えた」と言われることも多くなった。それくらいV6としての活動が極端に少なかった。

 

 

V6としての活動が年々減っていくに連れ、売上げも面白いくらいに比例していった。

 

●累計売上枚数(2005年〜2016年)
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ファンは正直だと思った。数字って怖い。生まれて初めてそう思った。こんなにも明確に「下降してます」「売れてません」と全世界に発信されるなんてこんなに怖いものはない。

 

数字が全てではないということは分かっているが、数字は重要な役割を果たしてくれることを私たちは知っている。特にビジネスシーンにおいては、数字は指標や判断材料として欠かすことのできないものだ。私たちは知らず知らずのうちに数字に絶対的な信頼を置いているのだと思う。だから、数字が全てではないということを頭では分かっていながらも、気持ちや感情は数字に左右されてしまう。数字って怖い。

 


メンバー間の話し合いの結果、グループとしての活動ではなく個人として活動を主とすることを選択した彼らに突きつけられた現実はあまりにも残酷すぎた。しかし、それでも彼らは個人の活動を主とし、それぞれのやりたい分野、得意な分野で実力を付けていった。酷い時には年に片手で数える程度しか全員が顔を揃える機会がなかったこともあったという。だけど、メンバー全員が共通して「それぞれがやりたいことをやらせてあげたい」という意思を持っていたのでこれはもう仕方ないと思った。「あぁ、こんな時でもV6なんだなぁ・・・」としか思えなかった。

 

 

 

約5年もの長きに渡る個人活動期を抜けた先にはV6デビュー20周年が待っていた。疾走感溢れるV6らしいダンスナンバー「Sky’s The Limit」を20周年の幕開けとして形にしてくれたことが最高に嬉しかった。20周年を迎えても「限界なんてない」と踊り続けるV6がやっぱり私は好きなんだと思った。そう思っていたのはファンだけじゃなくてメンバーも「やっぱり踊ってるV6が好き」だと言っていた。双方の思いが完全一致した同作は約7年ぶりに初週9万5467枚を売上げた。20周年の幕開けに相応しいスタートとなった。

 

その約半年後に発売された「Timeless」は20周年らしく「絆」をテーマにした楽曲だった。それぞれのソロが歌詞とリンクしていてジンと来た。横一列になって「傷つけあうこともあった でも許しあえないことなんてないはずだと 肩を並べ 歩く日々が 教えてくれた」と歌うV6は今の彼らだからこそ歌える楽曲だと思った。

 

その数ヶ月後に発売されたベストアルバム「SUPEER Very best」は20万枚以上を売上げ
た。同作に収録されていた「Wait for You」は様々な音楽番組で披露し、V6ファン以外からも大きな注目を浴びる楽曲となった。

 

 

 

昨年は一昨年までの個人を中心とした活動が嘘みたいにどこを切り取っても1年間まるっとV6だった。大袈裟でも何でもなくて、毎日何らかの情報が入ってきて全てを把握しきれない状態だった。一つの時代を築き、V6というグループを世間に知ってもらうきっかけにもなった「学校へ行こう!」も一夜限りの復活を果たした。テレビ離れが進む中、近年稀に見る瞬間最高視聴率22.1%という数字を叩きだし大きな反響を呼んだ。まだまだV6に需要があることを示すことができた良いきっかけになったと思った。

 

 

そして、今年はNEWシングル「Beautiful World」を1枚出すだけで6冊も表紙を飾り、5つの番組で披露した。まだ20周年が続いてるのかな・・・?と勘違いするくらいの露出の多さで、10年以上ファンをやっているがこんなこと初めてで驚いている。そして本日、約9年ぶりに初週10万枚を売上げた「Beautiful World」が、異例の追加タイアップとして「プリンスホテル」のテレビCMソングのとなることも発表された。

 

 

これだけグループとしての活動が多い上半期であるが、グループとしての活動を主とし現在活動しているわけではない。むしろどこからどう見ても個人活動をぎっしり詰め込んでいる。坂本さんは2月にソロコン「ONE MAN STANDING」と5月下旬~6月上旬にミュージカル「MURDER for Two」、長野さんは4月下旬~6月上旬にミュージカル「Forever Plaid」、井ノ原さんは毎朝の「あさイチ」とドラマ「警視庁捜査一課9係」、森田さんは映画「ヒメアノ~ル」と8月には「ビニールの城」の主演舞台が決定している。三宅さんは4月に舞台「滝沢歌舞伎2016」、岡田さんは来年公開される映画「追憶」の撮影中だ。

 

それぞれが多忙にも関わらず、シングルを1枚出すだけで6冊も表紙を飾り、5つの番組で披露してくれたのはファンの声がしっかりと彼らの耳に届いているからだと思うし、彼らの去年の目覚ましい活躍と結果が再評価されたことがやはり大きいのではないだろうか。実際、SNSを見ていると去年からV6のファンになった人が本当に多い。そして、リアルな話ではあるが「ファンはV6を求めている」という意思表示を彼らが提供してくれるものをお金で買うことで意思表示し、それが結果として明確に表れたことで関係者にファンの意思を受け取ってもらうことができたのではないだろうか。

 


グループとしての活動よりも個人としての活動が増えた時には不満もあったが、長きにわたる個人活動の成果がそれぞれに今実を結び「V6はみんな職人」だと言われるようになった。それぞれがそれぞれの環境で身に付けた能力を6人が集まった時に発揮した時のV6は凄い。

 

「それぞれがそれぞれの場所で仕事を熟していても、V6に戻った時にはみんなが同じ方向を向くことができるのがV6の良いところ」「『学校へ行こう!』が終わって、それぞれがやりたいことを見つけて個人としての活動が増えて、その時に初めてお互いを尊敬することができるようになった」と森田さんが言っていた。たとえ、グループとしての活動よりも個人としての活動の方が多かったとしても、20年以上も誰1人として脱退することがなく活動できているのはこの気持ちを6人全員が持ち続けているからだと思った。

 

 

10年前のグループや個々の雰囲気よりも、今の雰囲気の方が何倍もずっと良い。長きにわたってグループ活動よりも個人活動を主としてきた結果はグループ崩壊へのカウントダウンではなく、グループ存続へのプラスに働いていることが今の彼らを見ていると本当によく分かる。「この6人だったからこそ・・・」という言葉を去年はメンバーの口からたくさん聞いた。

 

 

恋愛じゃないけど、例えとするならば「会えない時間が愛を育てる」ってこういうことなんだろうなと思った。

 

 

「応援してくれる人が一人でもいる限りV6は続いていく」と彼らが言うように、彼らがそこにいる限り私は彼らに一生着いて行くし、「いつまでもずっと踊り続ける」と最年長の坂本さんが言うように、彼らが前を見据えている限り私は彼らが提供してくれるものに全力で応えたい。

 

  

約9年ぶりに初動売上10万枚を超えたことでまた一つ、「ファンはV6を求めている」というファンの声を数字という形で結果として明確に示すことができた。

 

 

この結果が次に繋がるといいな。

そして、この状態を継続させていきたいし、できることならば、いつも新しい世界を見せてくれる彼らに今度は私たちが新しい世界を彼らに見させてあげたい。