坂本さんが願ったとおりの大人になったカミセン

当時14~16歳だったカミセンに、「この人たち大丈夫かな・・・」と不信感を抱かれていた当時19~24歳だったトニセン。諸説あるがざっくり言うと、V6はバレーボールの練習会場で、真面目にバレーの練習をしていた6人が、デビュー直前に突然集められたグループだ。セカンドバッグを床に置いてバレーをやっていた、当時24歳の坂本さんとグループを組むことを知った当時16歳の森田さんは、「これはやばいグループになる・・・」と思っていたそうだ。トニセンはとにかくふわふわしていたらしく、カミセンから頼りなさげに思われているだろうなと自分たちでも思っていたらしい。

最年長の坂本さんと最年少の岡田さんの年齢は最大で10歳も離れているが、同じグループだからタメ口にしようと、当時19歳だった井ノ原さんが坂本さんに提案した。去年、三宅さんが「デビュー当時はタメ口を許してくれてありがとう」と坂本さんに伝えていたけど、数年前にトニセンが「提案も何もあいつら最初からタメ口じゃなかった?敬語なんか使ってたっけ?」と発言していたことを思い出して笑ってしまった。これぞカミセンと言うエピソードで凄く好きなエピソードだ。初対面の時から何歳も年上のトニセンに無礼な態度を取り、今でもトニセンに鮮明に覚えていると言われる岡田さんをはじめとし、やんちゃで有名だった森田さんと三宅さんなのでそりゃ敬語も何もないわと納得。

それでも「年上なのに失礼なことをたくさんしてごめんなさい。でも・・・ありがとう」と素直な気持ちを言葉にして伝えた三宅さんと、そんな三宅さんを見て目が潤んでいた坂本さんに強く胸を打たれた。最近、坂本さんが雑誌で「健は勝手に自由に動き回っているわけじゃなくて、彼が僕らを信頼してくれているから自由でいられる」と言っていた。危うく本屋で泣いてしまうところだった。

まだカミセンが20歳前後だった頃、坂本さんは「学校へ行こう!」でカミセンにこんなことを伝えた。

森田さんには「嫌なものは嫌と言える剛でいてください」、三宅さんには「健は繊細過ぎるところがあるからもっと適当に。何も考えずにどんどん前に出てきて欲しい」、岡田さんには「これからも人を思いやる優しい岡田でいてください」と。

あれから16年ほど経った今、カミセンは坂本さんが願ったとおりの大人になっている。

その中でも、「健は何も考えずにそのままでいいから」と坂本さんをはじめとするメンバーから言われ続けて来た三宅さんが、今、自由に伸び伸びとやっている姿を見るととてもホッとするのだ。「俺たちが健をリードで繋いでおけば大丈夫だから!」とか、三宅さんが暴走し始めると、「剛!健のリード繋いでる!?」とメンバーは笑うが、私はその言葉に涙腺がゆるむ。

年上の坂本さんからは「何があってもお前の味方だから。俺が守ってやるから」と言われ、年下の岡田さんからも「命を懸けて守りたい。好きだからですね(笑)」と言われ、素直にその言葉を受け入れる三宅さんをファンとしてずっと見て来たから、坂本さんの「健は勝手に自由に動き回っているわけじゃなくて、彼が僕らを信頼してくれているから自由でいられる」と言う言葉に思わず泣きそうなってしまったのかもしれない。

「嫌なものは嫌と言える剛でいてください」という言葉を送られた森田さんは、恐らくファン以外の人が見てもそう思うであろう、見たとおりの白黒はっきりした人だ。カミセンの中でも良い意味で1番根本的な部分が変わっていない人だと思うけど、やんちゃ少年から落ち着きのあるしっかりした大人になった。今年の目標は「正直に生きていたい」と言っていた。2016年もやっぱり森田剛だった。

10年くらい前に森田さんが坂本さんのことを、「最近気付いたんですけど、『あの人仕切れてねぇな』って(笑)」「坂本くん最近変わったんですよ。メンバーにも頼ってくれるようになった」って嬉しそうに言っていた。坂本さんがちゃんと仕切れてないから、自分が頑張ろうと思ってると言う姿が素敵だなと思って見ていた。トニセンじゃなくてカミセンの森田さんが「自分がV6を守る」って口にした時は驚いたけど、あれから10年経った今、本当にV6の支柱となっている。

坂本さんは事務所から「規律が乱れるから厳しくしろ」と言われていたため、昔はカミセンに相当厳しく接していたという。

岡田さんはそんな坂本さんについて、「今思えば無理して怒ってたんだろうなと思う。坂本くんがあんな感じだからV6はみんな優しく育った」と言ったことがある。

岡田さんの言う「あんな感じ」がどんな感じかは分からないけど、恐らく、元々人の上に立つようなタイプじゃないのに、何とかしてグループをまとめようと必死な姿を、メンバーひとりひとりと真剣に向き合う姿を、メンバーは何十年も見て来たから、坂本さんと同じようにV6はみんな優しく育ったと言うことなんじゃないかなと思った。

「これからも人を思いやる優しい岡田でいてください」という言葉のとおり、人の気持ちを理解し、人の良さを見つけ素直に褒めることが出来る岡田さん。時にはメンバーや後輩に対する誤った接し方に「!?」と思ってしまうこともあるけど、それも岡田さんなりの愛情表現なのかもしれない・・・と私は目をつぶる。

10代の時からずっと坂本さんの背中を見てきたカミセンは、坂本さんのように立派な大人に、そして、坂本さんが願ったとおりの大人になった。坂本さんは自分がカミセンに伝えたこと、今もちゃんと覚えてるだろうか?きっと忘れてるだろうな。